かざもりのブログ

福岡のこと、役立つ情報等紹介します

大宰府展示館ー大宰府の歴史と元号「令和」のもとの万葉集「梅花の歌」ー

 福岡の博物館ー大宰府展示館

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大宰府展示館

プロローグ

 正月に「令和ゆかり」の坂本八幡宮にお参りし、近くの大宰府政庁跡大宰府展示館に行き、太宰府天満宮に参詣し、九州国立博物館に行きました。

大宰府展示館では大宰府に関する様々な展示を通じて大宰府の歴史を知ることができました。

現在の元号「」の典拠は、万葉集の序文にある「梅花の歌」です。大宰府展示館内には、元号「令和」の発表後に頻繁にマスコミ等に取り上げられた「梅花の宴」のジオラマ、万葉集の写本が詳細な解説付きで展示してあり、建物の脇には「梅花の歌」の碑があります。

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大宰府展示館の脇の万葉集「梅花の歌」の碑

[目次]

大宰府展示館

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大宰府展示館は、もともとは大宰府政庁跡の発掘調査によって出土した奈良時代の遺構「玉石敷の溝」を保存公開するために建てられたそうです。

大宰府展示館には、それ以外にも大宰府関係の発掘調査等によって得られた沢山の展示等もあり、歴史的な情緒が感じられる魅力のある博物館で、昭和55(1980)年に開館しました。

また、館内では大宰府史跡解説員がガイドを行ってます。 下の写真は、奈良時代の「玉石敷の溝」を発掘したときの状態のまま公開しています。溝の中の礎石は水路の氾濫によて運ばれてきたようです。

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発掘状態の遺構「玉石敷の溝」
大宰府の概略

大宰府とは、日本古代律令国家の外交・軍事の一端を担い、かつ西海道(九州)全体を統括した、当時としては最大の地方官衛(役所)のことです。

大宰府政庁跡はその中枢施設があった場所です。発掘調査の結果、7世紀の後半から12世紀前半ごろまでの遺跡が確認されており、現在は史跡として整備されてます。

 太宰府といえば、太宰府天満宮が知られていますが、一方ここに多くの史跡が存在してます。

大宰府政庁跡をはじめ、水城跡、大野城跡、観世音寺、筑前国分寺跡などがそれです。これらの史跡の発掘調査は昭和43(1968)年に始まりました。

 大宰府展示館は、この発掘調査によって確認された遺構を保存・公開するとともに、大宰府の歴史を紹介する展示を行なっています。

大宰府展示館のパンフレットより

下の動画は「大宰府の概略」が分かる太宰府市の観光PR動画です。

 

大宰府についての展示等

下の写真は太宰府市周辺のジオラマです。大宰府政庁、街並み、大宰府防衛のための大野城・水城といった史跡などの位置を表示してます。

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大宰府政庁を中心とした街並みは、平城京や平安京と同じく東西南北に碁盤の目状態に作られてた条坊制でした。

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大宰府の条坊制 nisinippon.co.jp

 下の地図は、現在の大宰府展示館周辺のウォークマップです。

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 下の写真の石は上のウォークマップの下の方にある朱雀大橋の真下付近から発見された石です。大宰府朱雀門の礎石であろうと言われてます。

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大宰府朱雀門礎石(推定)の説明板

下の写真は大宰府政庁の復元模型です。古代日本の地方最大の役所であった大宰府政庁には門、回廊、正殿、脇殿など瓦葺の建物群があったと考えられています。模型は平安時代中頃の様子を復元したものです。

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下の写真は筑前国分寺の模型です。

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下の写真は大宰府政庁付近の再現ジオラマです。

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 下の写真は大宰府条坊客周辺の再現ジオラマです。

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 下の写真は学校院地区と観世音寺の再現ジオラマです。

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 下の写真は大宰府政庁跡から出土された鬼瓦(複製)等です。

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大宰府政庁跡から出土した壺、水晶、瓦と観世音寺から出土した瓦です。

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下の写真は 筑前国分寺跡から出土した瓦です。

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 学業院中学校の敷地から出土した木印(複製)などの印。

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 下の写真は大宰府条坊跡から出土された碁石、はずみ車、木製人形(複製)等です。

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下の写真は 太宰府の宝満山で出土した製塩土器や太宰府市の宮の本遺跡から出土した買地券(土地の売買契約書)です。f:id:kazamori:20200218223341j:plain

  下の写真は焼米ヶ原から見つかった炭火米と大宰府政庁跡そばの不丁地区から出土した須恵器(複製)のお皿です。

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 下の写真は大宰府政庁跡や観世音寺周辺から出土した中国等の陶磁器です。

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万葉集

『万葉集』は8世紀後半に成立した日本最高の歌集といわれ、編纂したのは大伴旅人の息子・家持といわれてます。

天皇や貴族だけでなく、農民や防人まで幅広い人々の詠んだ歌が4500首ほど収められており、日本の文化と長い伝統を象徴する歌集のひとつです。

全巻20巻からなる『万葉集』のうち、元号「令和」の典拠となった梅花の歌三十二首序文は巻五に収められています。

大宰府展示館の説明板より 

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『万葉集』写本 書写・寄贈 陶山雪代 

梅花の歌三十二首 序文

初春の月にして気淑(うるわ)しく風(やわら)ぎ 梅は鏡前の粉に披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香に薫らす

大意:初春の令月(よきつき)であり気は麗しく、風は和(やわ)らかに。梅は鏡の前の白粉(おしろい)の様に開き、蘭は匂い袋の香の様に薫(かお)っている。 

梅花の宴

天平2年(730年)正月13日、大伴旅人は自身の邸宅に大宰府や九州の役人らを招いて宴を開催しました。当時、中国から渡来した大変高貴であったをテーマに歌を詠んだことから「梅花の宴」と呼ばれてます。

 館内には、新元号「令和」の典拠となった「万葉集」巻五にある「梅花の宴」の様子を、福岡県の伝統工芸である博多人形(製作:博多人形師  山村延燁)により再現したジオラマがあります。

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ジオラマ「梅花の宴」 kotodazaifu.net

このブログを作成するにあたって参照した『大宰府と万葉の歌』(2020年1月13日発行、海鳥社)の著者の森弘子氏は、かつて大宰府展示館の学芸員で「梅花の宴」のジオラマ製作に携わっており著書にその様子が詳細に記述されてます。

着ている衣服(色、帯飾りなど)や席順は官職(身分)によって決まったようです。上の写真で左端の浅紫色の衣服を着て盃を傾けている人形が「大伴旅人」のようです。そして、右側の濃い茶色の衣服を着て顎に手をあてている人形は「山上憶良」のようです。

饗宴の膳 

展示してる食事のサンプルは、歌会の後で行われた饗宴で出された特別なお膳を再現したものです。地元の産物に各地から納められた干肉などの特産品が加わってます。当時、九州一円を統括した大宰府には様々な食材が集まってきたようです。

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下の写真の上のお膳には奈良時代における「一般庶民の食事」の再現です。黒米(玄米)、ヒジキ、キノコなどを食べていたようです。下の器に入っているのは歌会のときに出された酒の肴(さば、あわび等)のようです。  

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下の動画では大宰府展示館のガイドさんが「梅花の宴」等について詳しく説明してます。 

 

このブログは古都大宰府保存協会のホームページと書籍の『大宰府発見』、『大宰府と万葉の歌』参照してます。

www.kotodazaifu.net

 

 

下の動画は大宰府展示館をくまなく撮影してます。

 

アクセス

 

 西鉄バス 博多バスターミナル発・福岡空港国際線ターミナル経由「大宰府政庁跡」バス停下車

福岡空港から車で30分

JR二日市駅から車で10分

西鉄都府楼前駅から徒歩で15分

太宰府インターから車で5分

まほろば号「大宰府政庁跡」バス停下車

駐車場 隣の大宰府政庁跡に普通車40台(8:00~17:30)施錠有り

利用案内

開館時間 9:00~16:30

休館日  月曜日(ただし祝日・振替休日の場合はその翌日)

入館料  大人200円 大学・高校生100円 中学生以下無料

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大宰府展示館 入館チケット

最後に

元号が「令和」に代わって、太宰府市が注目されてます。大宰府展示館には来館者が以前よりも何倍も増えているようです。大宰府展示館に訪れて大宰府に関することを学んで隣の大宰府政庁跡にたたずみ「いにしえの」大宰府に「おもい」を馳せるのもいいですよ!どうぞ元号「令和」発祥の都、太宰府市、大宰府展示館にお越し下さい。